秋の味覚と猿払の恵み

北海道最北の村、猿払村。
猿払の10月といえば、やはり「食欲の秋」
夏のにぎわいが落ち着き、空気がひんやりと澄んでくる頃、村のあちこちに“秋の恵み”が顔をのぞかせます。

北海道の中でも最北に位置する猿払村では、この季節ならではの風物詩がいくつもあります。
その一つが「鮭釣り」
海岸沿いを車で走ると、砂浜や防波堤にずらりと立てかけられた釣り竿が目に入ります。
秋風に揺れる無数の竿のシルエットは、村に暮らす人にとって“秋の訪れ”を告げる景色のひとつ。
釣り人たちが波の向こうに思いを馳せ、銀色に輝く鮭が跳ね上がる瞬間を待つ姿は、何度見ても心躍るものがあります。

鮭は、猿払の暮らしや食文化に深く根づいてきました。
塩漬けにした新巻鮭はもちろん、いくらの醤油漬けやちゃんちゃん焼き、三平汁など、食卓を彩る料理の数々はどれもなじみの味です。
釣った鮭をその場でさばき、秋晴れの空の下で炭火を囲んで味わう──そんな贅沢な楽しみ方ができるのも、ここ猿払ならではかもしれません。

さらに、この季節はホタテ漁も続きます。
村の基幹産業でもある猿払のホタテは、身が厚く甘みが強いことで全国的にも有名です。
刺身やフライはもちろん、寒さが深まるこれからの季節には、鍋にたっぷりと入れて旨みを味わうのもおすすめ。
鮭とホタテ、二つの海の幸が同時に旬を迎えるのが、10月の猿払の大きな魅力です。

猿払の秋は、単に「食べ物が美味しい季節」というだけではありません。
海岸に並ぶ釣り竿や、港に帰る漁船、庭先に干された鮭や大根といった光景が、村の日常そのものを象徴しています。
これらの風景は、都会から訪れる人にとっては新鮮で、村で暮らす人々にとっては変わらぬ安心を与えてくれるもの。
秋の味覚とともに、この土地の風物詩を五感で楽しむことが、猿払の10月をより豊かにしてくれるのだと思います。

空気は冷たくても、食卓には温かさがあふれる季節。
猿払の秋の恵みを存分に味わいながら、冬へ向かうひとときを楽しんでみませんか。