雪と暮らす日々が、少し好きになる。――猿払の1月

1月の猿払村は、冬の「本番」という言葉がよく似合います。
空気はきりりと澄み、息を吸い込むだけで体の奥が目を覚ますような冷たさがあります。
朝、窓の外をのぞくと白い世界が当たり前になっていて、雪の重みで枝をしならせた木々や、風がつくる細かな雪の模様が、いつもの道を少しだけ違って見せてくれます。
日中の光は短く、それでも晴れ間がのぞけば雪面がまぶしくきらめき、景色は驚くほど明るく感じられます。
冬の深まりは厳しさでもあり、同時に、猿払らしい静けさと美しさがいちばん際立つ季節でもあります。

この時期の暮らしは、雪に合わせて自然とリズムが整っていきます。
朝の最初の仕事は、玄関前の雪を寄せて通り道をつくること。
さらさらの雪なら軽やかに進むのに、湿り気のある雪の日はスコップがずしりと重く、いつもより数分余計に時間がかかります。
除雪車が通ったあとは、道の端に雪の壁ができて、思った以上に雪が押し寄せていることもあります。
それでも、少しずつ手を動かして道ができていくと、頭の中まで整っていくような感覚があります。
雪かきは大変な作業のはずなのに、「今日も始まったな」と暮らしのスイッチを入れてくれる、そんな役割も担っているのかもしれません。

車の運転も、冬の猿払では生活の一部として自然と慎重になります。
スタッドレスタイヤはもちろんのこと、ワイパーやウォッシャー液、車内の防寒具、手袋やブランケットなど、備えがあるだけで安心感が変わります。
吹雪の予報が出ている日は無理をしない、暗くなる前に用事を済ませる、遠出は余裕を持って計画する。
そうした判断が「安全に暮らす知恵」として積み重なっていきます。
雪国の冬は、気合いで乗り切るというより、段取りと工夫で穏やかに過ごすもの。
1月の猿払は、そのことを毎日の小さな選択で教えてくれます。

1月は、年のはじまりでもあります。
お正月の空気が落ち着く頃、ふと「今年はどんな一年にしたいだろう」と考える時間が生まれます。
大きな目標を立てるのもいいけれど、猿払の冬には、少し小さめの決意が似合います。
たとえば、雪の日でもなるべく同じ時間に起きる、週に一度はゆっくりお茶を淹れる、台所の引き出しをひとつだけ整える。
そういう小さな習慣は、冬の長い夜を心地よくしてくれます。
外の景色が白く単調に見える日こそ、自分の暮らしの内側に目を向けると、意外な豊かさが見つかります。

もちろん、冬は簡単ではありません。
雪かきの疲れが溜まる日もあるし、天気に予定を左右されることもあります。
それでも、冬に合わせて暮らしを整え、無理をしない選択を覚え、あたたかい食卓と灯りに救われるうちに、冬は少しずつ「暮らしの一部」になっていきます。
猿払村の1月は、厳しさの中に、日々を丁寧に積み重ねるあたたかさがある季節です。

雪の白さに包まれた村で、今日できることをひとつだけ済ませて、あとは温かい飲み物を手に、窓の外を眺めてみる。
そうやって過ごす時間が、冬を好きになる入り口になるのかもしれません。猿払の1月には、そんな静かな魅力が確かにあります。